音声対話可能な2Dキャラクターを用いた仮想共食システム

近年,孤食(一人で食事をすること)を行う頻度が高い人が増加してきている.孤食によって,コミュニケーションの機会・能力の減少や,ストレスの蓄積,栄養の偏りや早食いによる食習慣の悪化等の問題が引き起こされることが懸念されている.
本研究では「食事中の会話によるコミュニケーション」に着目し,立体的アニメーションが組み込まれた2Dキャラクターに,音声対話ができるAIを付与することで,ユーザに対するリアクションや音声会話を可能とし,仮想的な共食環境を提供するシステムを提案する.ユーザの発話を音声認識して,AIを用いた文章生成や音声合成と組み合わせることで,食事中にキャラクターと会話によるコミュニケーションを取ることができる.さらに会話を挟むことで飲食のタイミング,つまり食事ペースを調整する効果を狙う.また,食品を口に運ぶ動作等ユーザの食事中の行動を検出することで,早食いに対する警告など,ユーザの行動に応じたフィードバックを行う.アニメーションでリアクションを返すことで,ユーザに親近感を持たせたり,キャラクターに話しかけやすくする効果を狙う.これらの機能を用いて仮想的な共食環境を提供することで,孤食により引き起こされる問題の軽減を目指す.

システム使用時の様子・システム構成

発表

  • 鈴木 瑞帆, 塚田 浩二. 音声対話可能な2Dキャラクターを用いた仮想共食システム. インタラクション2024論文集, インタラクティブ発表, 1B-55, pp.420-424. 2024-3. [PDF]

単純な動作でユーザに気づきをもたらす日用品付帯型ロボット

人間は周辺感覚内でモノの動きを知覚すると,その「動き」に反応して自然と動いたモノに視線を向けてしまう.この人間の知覚の特徴から,本研究では日用品に取り付き, 取り付いたモノをシンプルな動作でさりげなく動かす日用品付帯型ロボットを提案する.ユーザが所持している日用品にロボットを取り付けることで,日常生活にロボットを導入しやすいと考えた.身近な日用品である「本」を題材として,「本のページをめくる動作」,「本の表紙が揺れる動作」,「本が震える動作」の3 種類の動作を行うプロトタイプを実装した.ユーザ評価実験を通して,3 種類の動作を比較し,動作に対する注意の向け方や印象の違いを調査する.

発表

  • 髙澤 佳乃, 塚田 浩二. 単純な動作でユーザに気づきをもたらす,日用品付帯型ロボットの研究. エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2023論文集, pp. 279-285. 2023-09-02. [PDF]  【特選セッション発表認定】

自動車内の状況を反映可能なスマートステッカーの提案

走行中の自動車内の状況を、歩行者や他の運転者に伝えることは難しい。自動車用のステッカー、特に初心者マーク/高齢者マークや「赤ちゃんがのっています」マークなどは、車内の様子を知る助けとなる。一方、これらはリアルタイムの状況を反映しているものではないため、運転者の体調や緊張度等を車外から推察することは難しい。
そこで本研究では、車内の状況に応じて動的に変化するスマートステッカーを提案する。 自動車のリアガラスなどにLEDマトリクスを内蔵したスマートステッカーを配置し、スマートフォンやスマートウォッチと連携することで、ドライバーの状態などの車内の状況認識を行う。認識結果に応じてステッカーの表示内容を動的に変化させ、車内の状況を伝達する。

スマートステッカーの外観とシステム構成
試作中の提示コンテンツ
ストレス状態提示ステッカーの初期試作の利用イメージ

発表

  • 佐藤 佑亮, 塚田 浩二. 自動車体験を拡張するスマートステッカーの試作. 情報処理学会研究報告, 2023-HCI-202(30), pp.1-6. 2023-3. [PDF]
  • 佐藤 佑亮,塚田 浩二.自動車内の状況を反映可能なスマートステッカーの提案.インタラクション2022論文集,インタラクティブ発表(プレミアム発表),3D-03,pp.400-402,2022-03-01.[PDF]

PartsSweeperを拡張した部品整理手法の提案

本研究は,先行研究である「PartsSweeper」を拡張し,実用性の向上を図る.PartsSweeper は,工作机の裏に磁石を設置して動かすことで,机上に散乱しやすい部品/工具等をさりげなく移動・整理するシステムである.一方,机上のゴミ等の非磁性体の移動や,部品や工具の細やかな分類には課題が残っていた.本研究では,こうした課題を解決するために,非磁性体を移動するための拡張パーツや,天板へのテクスチャ付与による分類手法を提案する.

机上のゴミ(非磁性体)を自動的に整理するツールの実装.先行研究ではツールが回転しゴミを取りこぼしているのに対し,本提案ではツールの回転は最小限に抑えられ,ゴミを残さず移動できている.

テクスチャ付加により部品と工具を移動中に分類する実験の一例.
机の表面に微細な凹凸(テクスチャ.動画の水色部分)を作成しておき,その上を通るように部品や工具を動かす.摩擦や移動経路によって,テクスチャの上に工具を残し部品のみ端に寄せる(またはその逆)ような,選択的な移動を狙う.

発表

  • 阿保 信宏,塚田 浩二.PartsSweeperを拡張した部品整理手法の提案.インタラクション2022論文集,インタラクティブ発表(プレミアム発表),4D-05,pp.529-533,2022-03-01.[PDF]

PartsSweeper: 電子部品や工具をさりげなく整理するインタラクティブ・デスク

デスクワーク等を行う作業机,特に電子工作では多数の電子部品や工具が机の上に配置され,それらを組み合わせて使用するために煩雑になりがちである.本研究では,電子工作等の作業机に着目し,さりげなく机上の工具/部品等を移動・整理するシステム「PartsSweeper」を提案する.本システムは,机の裏に設置したXY プロッター,ヘッド部の2 種類の磁石と昇降機構,及び作業空間を入力するタブレット端末を中心に構成される.特別なセンシングを行うことなく,工具と電子部品を個別に移動/整理することを目指す.また本研究ではデバイスの製作を行い,そのデバイスの性能テスト,ユーザ評価を行った.その結果,机上での移動や電子部品と工具の分離において,煩雑になった電子工作における作業机を整理できるといった可能性を示した.

発表

  • 折原 征幸, 塚田 浩二. PartsSweeper:電子部品や工具をさりげなく整理するインタラクティブ・デスクの研究. 情報処理学会論文誌, Vol.63, No.2, pp.424-436. 2022-02-15. [PDF]
  • 折原 征幸,塚田 浩二,PartsSweeper: 電子部品や工具をさりげなく整理するインタラクティブ・デスクの試作と応用,WISS2020予稿集,pp.67-72,登壇発表(ショート),2020-12. [PDF]
  • 折原 征幸, 塚田 浩二,  PartsSweeper: 電子部品や工具をさりげなく整理するインタラクティブ・デスクの試作, 情報処理学会研究報告, 2020-HCI-189(18), pp.1-7, 2020-09. [PDF]
  • Masayuki Orihara and Koji Tsukada. PartsSweeper: interactive workbench to casually organize electronic parts and tools. In Proceedings of the 2019 ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing and Proceedings of the 2019 ACM International Symposium on Wearable Computers (UbiComp/ISWC ’19). pp.339-341, 2019.[PDF]
  • 折原 征幸,塚田 浩二,PartsSweeper: 電子部品や工具をさりげなく整理するインタラクティブ・デスク,インタラクション2019論文集,インタラクティブ発表,2B-32,pp.586-589,2019.[PDF]

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