近年,ゲームやVR(Virtual Reality)コンテンツに適した多様なコントローラが提案されている.本研究では,日用品の種類・持ち方に応じて,VR コンテンツ内で道具を持ち替えるように扱えるコントローラの構築を目指す.身の回りには多様な日用品があるため,ユーザは自分の好みの形状/重さ/大きさを選択でき,そうした特性を活用した動きとゲーム内の操作を対応付けることで,斬新で分かりやすい操作体系を構築できる可能性がある. 基礎検討としてまず,持ち方の変化に注目して,スマートフォンを用いたプロトタイプを実装した.スマートフォンの持ち方によってHMD上のVR コンテンツ内の道具を切り替え,スマートフォンを動かした際の道具の機能が変化する.
本システムの利用状況と,スマートフォンの持ち方に応じて武器が切り替わる例
発表
尾崎 陽彦, 塚田 浩二. 日用品の特性に基づくVRコントローラの基礎検討. 情報処理学会 インタラクション2025論文集, インタラクティブ発表, 3B37, pp.1172-1175. 2025-3. [PDF]
人間は周辺感覚内でモノの動きを知覚すると,その「動き」に反応して自然と動いたモノに視線を向けてしまう.この人間の知覚の特徴を踏まえて,本研究では生活空間でさりげない動きを生成するデバイスを提案する.本研究ではまず,デバイスの設計のための事前検討として,「生活空間内で生じたさりげない動きの調査」を行った.この結果を踏まえて,「フォトフレームの写真が動くデバイス」と「布が動くデバイス」の2 種類を実装した.これらのデバイスを用いた評価実験を通して,さりげなさと誘目性が両立するパラメータを調査した.さらに,一定の注意を引きながらも,生活に溶け込んだデバイスの設計に必要な要素について考察する.
「フォトフレームの写真が動くデバイス」と「布が動くデバイス」の外観・動作機構
発表
高澤 佳乃, 塚田 浩二. 日用品のさりげない動きを用いた誘目性のデザイン. 情報処理学会研究報告, 2025-HCI-212(10), pp.1-7. 2025-3. [PDF]
日常生活において他者との対面コミュニケーションは重要であるが,苦手と感じる人々も一定数存在する.本研究では他者と話したいという外向的な気持ちを有している反面,相手に声をかける行為に不安を感じてしまう状態を消極性コミュニケーションと定義し,消極性コミュニケーションを支援するためのウェアラブルディスプレイを提案する. まず,カメラで一人称視点の映像を撮影し,リアルタイムに顔検出を行うことで,ユーザと向かい合う顔の数と継続時間を計測する.次に,これらのデータからユーザの交流状況を計算し,ディスプレイに表示する顔アイコンを変化させる.交流が少ない場合はオドオドした表情が,多い場合は笑顔の表情が提示される.さらに,交流した回数や継続時間を,アイコン周囲の円状のパターンの変化として表示する.このように自身の交流状況をさりげなく開示し,自身と周囲の人の双方に行動変容を促すことで,消極的な人の対面コミュニケーションを支援することを目指す.
発表
桃井 悠汰, 塚田 浩二. 消極性コミュニケーションを支援するウェアラブルディスプレイの試作. 情報処理学会研究報告, 2025-HCI-212(9), pp.1-8. 2025-3. [PDF]
桃井 悠汰, 塚田 浩二. 消極性コミュニケーションを支援するウェアラブルディスプレイの提案. 情報処理学会 インタラクション2025論文集, インタラクティブ発表, 2B44, pp.805-808. 2025-3. [PDF]
押しボタンは日常の様々な場所で利用される一般的な入力デバイスである.押しボタンの中にも多様な種類があり,押した時の感触(押し心地)が異なる.利用場面に適した押し心地は,システムの操作性を向上させる. そこで本研究では,一つの押しボタンに複数の押し心地を表現する機構を搭載し,動的に切り替え可能な押しボタン型デバイスを提案する.押しボタンの押し心地に影響する主な機構的特徴は,押下圧(ボタンを押すのに必要な力),クリック感(入力を受け付けた際のフィードバック),ストローク(最大までボタンを押したときの深さ)だが,本研究では押下圧とクリック感に焦点をあてたフィードバックを行う.
本研究のコンセプト.ボタンの押下圧等を変更することで,動的に押し心地を変更する.
プロトタイプの外観と内部構造.
発表・採択
メディア
没入型ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は,現実空間の視界を遮断することで高い没入感を得られるが,仮想空間と現実空間でのタスク切替に難があるため,日常生活で長く利用することは難しい.そこで,片目を隠す動作でコンテンツを手軽に切り替え可能なインタラクション手法 HidEye を提案する.HMD に特殊なセンサ等を付与することなく,自然な動作で仮想空間と現実空間のタスクをなめらかに連携することを目指す.
本研究のコンセプト.VR コンテンツ使用中に片目を隠す動作を行うことで,VR コンテンツとパススルーの重畳表示を行う.
VIDEO
発表
伊勢 隆之介, 塚田 浩二. HidEye:片目を隠す動作によるHMD用インタラクション手法の提案. 日本ソフトウェア科学会 WISS2024 予稿集, 登壇発表/デモ発表, pp. 9-15. 2024-12. [PDF]
Ryunosuke Ise and Koji Tsukada. HidEye: Proposal of HMD Interaction Method by Hiding One Eye. In SIGGRAPH Asia 2024 Posters (SA ’24). Article 10, pp. 1–2. 2024. https://doi.org/10.1145/3681756.3697915
伊勢 隆之介, 塚田 浩二. HidEye:片目を隠す動作によるHMD用インタラクション手法の提案. 情報処理学会 インタラクション2024論文集, インタラクティブ発表, 1B-44, pp.377-379. 2024-3. [PDF] 【インタラクティブ発表賞(PC推薦)】