押しボタンは日常の様々な場所で利用される一般的な入力デバイスである.押しボタンの中にも多様な種類があり,押した時の感触(押し心地)が異なる.利用場面に適した押し心地は,システムの操作性を向上させる. そこで本研究では,一つの押しボタンに複数の押し心地を表現する機構を搭載し,動的に切り替え可能な押しボタン型デバイスを提案する.押しボタンの押し心地に影響する主な機構的特徴は,押下圧(ボタンを押すのに必要な力),クリック感(入力を受け付けた際のフィードバック),ストローク(最大までボタンを押したときの深さ)だが,本研究では押下圧とクリック感に焦点をあてたフィードバックを行う.
本研究のコンセプト.ボタンの押下圧等を変更することで,動的に押し心地を変更する.
プロトタイプの外観と内部構造.
発表・採択
Kazuma Tahara and Koji Tsukada. Force Feedback Button that Focuses on Both Operation and Non-Operation. Proceedings of the SIGGRAPH Asia 2025 Posters. Article 35, pp. 1–2. 2025-12. https://doi.org/10.1145/3757374.3771494
田原 和真,塚田 浩二. 「推しボタンマトリクス」の提案とその応用. 日本ソフトウェア科学会 WISS2025 予稿集, デモ発表 1-A03. 2025-12. [PDF]
田原 和真, 塚田 浩二. 動的に押し心地が変化する押しボタンの試作と評価. 情報処理学会論文誌, Vol.66, No.2, pp. 354-365. 2025-2-15. https://doi.org/10.20729/0002000027 [PDF]
田原 和真, 塚田 浩二. ボタン自体をさりげなく駆動させる情報提示手法の提案. 日本ソフトウェア科学会 WISS2024 予稿集, デモ発表 3-A09. 2024-12. [PDF]
田原 和真.多様な操作環境に適した押し心地を生み出すスマートボタンの提案.一般社団法人新雪 「2024年度北海道ITクリエータ発掘・育成事業(新雪プログラム)」 採択.https://shinsetsu.hokkaido.jp/koubo/2024_result (最終アクセス:2024年09月25日)
田原和真, 塚田 浩二.動的に押し心地が変化する押しボタンの提案.日本ソフトウェア科学会 WISS2023予稿集,ロングティザー T04/デモ発表 3-B11.2023-12. [PDF] 【対話発表賞(一般)】
メディア
ルームスケール VR は,HMD 等を用いた VR 空間を「実際に歩き回る」体験を付与できるが,広大なスペースや大掛かりな機構が必要となる課題があった.本研究では,一つのポール状デバイスを中心として,省スペースで自然な VR 空間での移動体験を提供するシステム,「Pole-Scale VR」を提案する.ユーザは HMD を装着し,片手でポールを握った状態を初期状態として,ポールの周囲を回るように移動する.ポール状デバイスは軸に沿って回転し,ユーザの移動方向等を検出できる.さらに,フォースフィードバック機能を備えており,VR コンテンツと連動して引張/抵抗感等を提示する.ポールを中心として物理な移動範囲を自然に制限することで,省スペースで没入感の高い移動体験を提供することを目指す.
利用する様子とポール状デバイスの構造
アプリケーション例:FPSゲーム. 全方位から襲ってくる敵から旗を守るために,ポールの周囲を回転しながら戦う.敵の方向をデバイスの回転により提示する.
発表
今枝 和暉,田原 和真,塚田 浩二. Pole-Scale VR:ポール状デバイスを用いた省スペースなルームスケールVR環境の提案. 日本ソフトウェア科学会 WISS2025 予稿集, デモ発表 2-C05. 2025-12. [PDF]
残像ディスプレイは,LED アレイ等を空間上で移動させることで残像を用いて情報提示する仕組みであり,自転車の車輪/扇風機等の多様な残像ディスプレイが提案されている.本研究では,日本の伝統的な玩具である独楽に残像ディスプレイを搭載して,インタラクティブな独楽遊びを支援するシステムを提案する.独楽には複数の LED マトリクスが搭載されており,静止時/回転時に異なる映像を提示する.さらに,内蔵の慣性センサを用いて,独楽同士の衝突等を検出して,インタラクティブな演出を付与できる.
基本動作
対戦ゲームの例
基本動作としては,静止時に表示画像を選択して回すと残像が表示され,回転時間等に応じた演出等が行われる. 対戦ゲームモードでは,2台の独楽が回転中に衝突すると特殊な残像が表れ,停止後は勝敗結果を表示する.
発表
澤谷 樹,塚田 浩二. インタラクティブな独楽型残像ディスプレイの提案. 日本ソフトウェア科学会 WISS2025 予稿集, デモ発表 3-C19. 2025-12. [PDF]
近年,ゲームやVR(Virtual Reality)コンテンツに適した多様なコントローラが提案されている.本研究では,日用品の種類・持ち方に応じて,VR コンテンツ内で道具を持ち替えるように扱えるコントローラの構築を目指す.身の回りには多様な日用品があるため,ユーザは自分の好みの形状/重さ/大きさを選択でき,そうした特性を活用した動きとゲーム内の操作を対応付けることで,斬新で分かりやすい操作体系を構築できる可能性がある. 基礎検討としてまず,持ち方の変化に注目して,スマートフォンを用いたプロトタイプを実装した.スマートフォンの持ち方によってHMD上のVR コンテンツ内の道具を切り替え,スマートフォンを動かした際の道具の機能が変化する.
本システムの利用状況と,スマートフォンの持ち方に応じて武器が切り替わる例
発表
尾崎 陽彦, 塚田 浩二. 日用品の特性に基づくVRコントローラの基礎検討. 情報処理学会 インタラクション2025論文集, インタラクティブ発表, 3B37, pp.1172-1175. 2025-3. [PDF]
人間は周辺感覚内でモノの動きを知覚すると,その「動き」に反応して自然と動いたモノに視線を向けてしまう.この人間の知覚の特徴を踏まえて,本研究では生活空間でさりげない動きを生成するデバイスを提案する.本研究ではまず,デバイスの設計のための事前検討として,「生活空間内で生じたさりげない動きの調査」を行った.この結果を踏まえて,「フォトフレームの写真が動くデバイス」と「布が動くデバイス」の2 種類を実装した.これらのデバイスを用いた評価実験を通して,さりげなさと誘目性が両立するパラメータを調査した.さらに,一定の注意を引きながらも,生活に溶け込んだデバイスの設計に必要な要素について考察する.
「フォトフレームの写真が動くデバイス」と「布が動くデバイス」の外観・動作機構
発表
高澤 佳乃, 塚田 浩二. 日用品のさりげない動きを用いた誘目性のデザイン. 情報処理学会研究報告, 2025-HCI-212(10), pp.1-7. 2025-3. [PDF]