複数の歩行軌跡に基づくGPSアートを用いた歩行促進アプリの提案

ウォーキングやランニングなどの歩行活動は,健康維持やメンタルヘルスの向上に効果があるが,多忙などを理由に運動時間を確保できない人が多い.従来の歩行促進手法では,運動のためにまとまった時間が必要であることが課題となっていた.そこで本研究では,GPS アートを活用した新しい歩行促進手法を提案する.提案するシステムは,ユーザが歩行時に記録した軌跡を組み合わせて作品を制作・閲覧できる機能を備えており,楽しみながら日常生活の中で自然に歩行活動を促進することを目指している.

発表

  • 尾本 悦基, 塚田 浩二. 複数の歩行軌跡に基づくGPSアートを用いた歩行促進アプリの提案. 日本ソフトウェア科学会 WISS2024 予稿集, デモ発表 3-B12. 2024-12. [PDF]

SlimeMolder:粘菌ファブリケーションのための自動培養システム

本研究では,粘菌をデジタルファブリケーションの系に組み込むための自動培養システムを提案する.粘菌は環境や刺激に応じて,広がり方が異なる特性を持ち,HCI 研究や芸術表現にとって可能性のあるマテリアルである.一方,粘菌の培養を日常生活環境で行うことは難しい.湿度や温度を一定に保ったり,餌を適度に与えるだけでなく,培地を定期的に交換する必要がある.そこで,本提案では粘菌の自動培養装置「SlimeMolder」を開発し,多彩なインタラクションや表現分野で活用可能な,粘菌ファブリケーション基盤を構築する.

発表・採択

  • 迫田 海斗, 田井 普, 塚田 浩二. SlimeMolder : 粘菌を観察しながら育む粘菌ファブリケーションシステムの提案. 日本ソフトウェア科学会 WISS2024 予稿集, デモ発表 1-B04. 2024-12. [PDF]
  • 迫田 海斗.粘菌ファブリケーションのための粘菌の自動培養システム.独立行政法人情報処理推進機構(IPA)2024年度未踏IT人材発掘・育成事業 採択.https://www.ipa.go.jp/jinzai/mitou/it/2024/koubokekka.html (最終アクセス:2024年6月21日)
  • 迫田 海斗, 塚田 浩二. SlimeMolder:粘菌ファブリケーションのための自動培養システム. 情報処理学会 インタラクション2024論文集, インタラクティブ発表, 3B-35, pp.1220-1222. 2024-3. [PDF]
  • 迫田 海斗.粘菌の自動培養を目的とした「粘菌無限ランニングマシーン」.一般社団法人新雪 2023年度「北海道ITクリエータ発掘・育成事業(新雪プログラム)」 採択.https://shinsetsu.hokkaido.jp/koubo/2023/result (最終アクセス:2023年10月19日)

アナウンス技術の練習支援システムに向けた基礎検討

本研究では,音声情報処理技術を用いたアナウンスの練習支援システムを提案する.アナウンスとは一般的にテレビやラジオなどでアナウンサーが情報を分かりやすく伝えるための技術である.本研究では,高校や大学で行われる競技アナウンスの採点基準を参考にして,アナウンス技術の評価指標を考察する.さらに,アナウンス初心者/経験者の音声データを収集し,評価指標に基づいて実装したシステムを用いて,アナウンス技術の定量的な分析を試みる.こうした分析を通して,アナウンス技術の練習支援システムに向けた基礎検討を行う.

システム構成図

発表

  • 山田 真那子, 塚田 浩二. アナウンス技術の練習支援システムに向けた基礎検討. 情報処理学会研究報告, 2024-HCI-208(34), pp.1-8. 2024-6. [PDF]

大規模言語モデルを用いた日本語ラップ創作支援システム

近年ラップ(HIPHOP)は世界的に人気のある音楽ジャンルであり,J-POP など別ジャンルにおいても,歌詞の一部にラップや押韻表現を取り入れる例が増えている.ラップ歌詞(Verse)の作成は,意味的な表現に加えて,押韻表現(Rhyme)を組み合わせる必要があるため,難易度が高い.
そこで,本研究では Verse 生成の初級者を対象として,任意のキーワードを入力として,大規模言語モデルを介して,意味表現・押韻表現を備えた Verse を生成する創作支援システムを提案する.キーワードの入力やシステムの提示する歌詞候補からの選択を対話的に行うことで,歌詞のテーマやユーザの意思を反映した一貫性のある Verse の生成を目指す.

左:通常の歌詞作成と Rhyme 表現を用いた歌詞作成手順の比較.
右:システム画面の一例.

発表

  • 廣 晴輔, 塚田 浩二. 大規模言語モデルを用いた日本語ラップ創作支援システム. インタラクション2024論文集, インタラクティブ発表, 1B-54, pp.416-419. 2024-3. [PDF]

鬼剣舞の練習を支援するシステム

日本の様々な地域で古くから民俗芸能が伝承されているが,昨今の情勢により伝承の形が変化し始めている.道場に赴いて練習をする機会が減り,代わりにインターネットにアップロードされている動画を参考にするなどして,自宅で練習する機会が増えた.しかし,動画を参考にして練習する方法には,練習者が踊りを間違って解釈してしまいかねないという課題がある.そこで本研究では,岩手県北上市の「鬼剣舞(おにけんばい)」と呼ばれる芸能を対象に,鬼剣舞の特徴である「跳躍や屈伸」と「ザイを切る動作」に着目した練習支援システムを提案する.

跳躍や屈伸の支援(姿勢推定技術の使用)

練習者の踊りと練習に用いる動画内の踊りを比較し,2つの踊りの差異を練習者にフィードバックするシステムを開発した.ユーザと動画内の演者を赤と青の骨格で表し,並べて提示することで大まかな大まかな踊りの振り付けの差異を確認できる.また,赤と青の骨格を重畳表示し,ユーザに注意してもらいたい部分を黄色で示すことで,屈伸動作の比較に役立たせることを狙う.

ザイを切る動作の支援(6 軸慣性センサを使用)

首を大きく振り,頭部用の装束であるザイを素早くなびかせる動作を「ザイを切る」と呼ぶ.主に踊り手の判断で行われる動作で,動きやタイミングに明確な基準が存在していないため,練習が困難である.そこで,6 軸慣性センサを用いて踊り手の頭頂部と背面腰部の加速度・角速度を取得し,ザイを切る動作区間を自動抽出した上で,その特徴を動画と合わせて可視化することで,踊り手の練習支援を図るシステムを開発した.

動作の特徴をアニメーションやパラメータで可視化する

発表

  • 近藤 勝伍, 塚田 浩二. 「ザイを切る」動作に着目した鬼剣舞の練習支援システムの試作. 情報処理学会研究報告, 2024-HCI-207(33), pp.1-8 . 2024-3. [PDF]
  • 近藤勝伍, 塚田浩二. 「ザイを切る」動作に着目した鬼剣舞の練習支援システムの提案. インタラクション2024論文集, インタラクティブ発表, 3A-13, pp.1121-1126. 2024-3. [PDF]
  • 近藤勝伍, 塚田浩二. 岩手の郷土芸能「鬼剣舞」の練習支援に関する研究. 第2回日本ダンス研究会.2022-11-26.
  • 近藤 勝伍,塚田 浩二.鬼剣舞の練習を支援するシステムの提案.インタラクション2022論文集,インタラクティブ発表(プレミアム発表),4D-03,pp.522-525,2022-03-01.[PDF]

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