本研究では,粘菌をデジタルファブリケーションの系に組み込むための自動培養システムを提案する.粘菌は環境や刺激に応じて,広がり方が異なる特性を持ち,HCI 研究や芸術表現にとって可能性のあるマテリアルである.一方,粘菌の培養を日常生活環境で行うことは難しい.湿度や温度を一定に保ったり,餌を適度に与えるだけでなく,培地を定期的に交換する必要がある.そこで,本提案では粘菌の自動培養装置「SlimeMolder」を開発し,多彩なインタラクションや表現分野で活用可能な,粘菌ファブリケーション基盤を構築する.
発表・採択
本研究では、青空や夕焼けを生むレイリー散乱という現象に着目し、身近な素材を用いてレイリー散乱を再現するディスプレイ「RayLeight」を提案する。(1) レイリー散乱現象を引き起こす素材を、取り回しが容易で配置の自由度が高い形に加工(部品化)し、(2) 光源と組み合わせたディスプレイを設計すること、をコンセプトとして、二つのデバイスを開発した。
アクリルエマルジョンを用いたマトリクスディスプレイ
アクリルエマルジョン(市販のフローリングワックス)を溶かした溶液を封入したセルをマトリクス状に配置し、底面から白色LEDを照射することで、任意の部品の色を変化させるディスプレイを試作した。
4 × 2 に部品を配置して底面LEDを全点灯したときの側面(左)と上面(右)の表示例
ホットボンドスティックを用いたタンジブルディスプレイ
市販のホットボンドの樹脂スティック(以下、スティック)に白色 LED を投射することで、レイリー散乱が発生することに着目した。スティックは身近な素材で入手が容易であり、柔らかくしならせることができる特徴がある。こうしたスティックの特徴を活かした、カスタマイズ可能なタンジブルディスプレイを開発した。
システム外観(左)。時間帯によって発色を切り替え、青空と夕空を表現する作例(右).
発表
袴田 結女, 沖 真帆, 塚田 浩二. RayLeight: レイリー散乱を用いた柔軟なタンジブルディスプレイの試作と評価. 情報処理学会研究報告, 2024-HCI-207(14), pp.1-8. 2024-3. [PDF]
袴田 結女, 沖 真帆, 塚田 浩二. RayLeight:レイリー散乱を用いた柔軟なタンジブルディスプレイの試作. インタラクション2024論文集, インタラクティブ発表(プレミアム発表), 3C-69, pp.1354-1359. 2024-3. [PDF]
袴田 結女, 沖 真帆, 塚田 浩二. RayLeight : レイリー散乱を用いた立体ディスプレイの試作. WISS2022予稿集, デモ発表, 3-A08. 2022-12. [PDF]
袴田 結女,沖 真帆,塚田 浩二.RayLeight: レイリー散乱を用いたマトリクスディスプレイの提案.情報処理学会研究報告,2022-EC-63(12),pp.1-7.2022-03-11.[PDF]
カスタマイズ可能なラインストーン造形手法を提案する.本手法では,UV プリンタを用いてカラーインクで底面パターンを印刷し,その上に透明インクを盛り上げてストーンを印刷することで,ラインストーンを造形する.底面パターンや配色,印刷素材等をカスタマイズすることでラインストーンの外観をデザインすることができる.さらにレイアウトしたラインストーンは UV プリンタで一度にまとめて印刷することが可能である.
本手法で制作したラインストーン作品の外観と印刷用データ.(a) スマートフォンケース.(b) ステッカー.(c) アクセサリー
謝辞
本研究を進めるにあたり,FabLabSENDAI – FLAT にご協力いただきました.ありがとうございました.
発表・採択等
本研究では,熱溶解積層方式 3D プリンタを G-code で直接制御することで,封蝋表現を実現する手法を提案する.具体的には,ノズルの温度をフィラメントの適正温度よりも高温に設定し,一箇所に多量のフィラメントを押し出す.次に,手動または自動で型をフィラメントへ押し込むことで,樹脂を封蝋のように固定する.
作例と制作手順
発表
菊地 勇斗, 塚田 浩二. 3Dプリンタを用いた封蝋表現手法の研究. エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2023論文集, pp. 270-278. 2023-09-02. [PDF] 【特選セッション発表認定】
菊地 勇斗, 塚田 浩二. 3Dプリンタを用いた封蝋表現手法の提案. WISS2022予稿集, デモ発表, 3-B04. 2022-12. [PDF] 【対話発表賞(プログラム委員)】
クロミック素材は,外部からの刺激によって色等が可逆的に変化する現象を示す物質である.さりげない質感変化が魅力であり,お湯を入れると色が変化するマグカップ等の小物製品にも利用されている.しかし,「有色から無色などの2 色間の遷移しかできない」,「一度変化パターンを決めると後から変更できない」といった制約があり,素材単独では柔軟な表現が難しかった.本提案では,クロミック素材とCNC ミシン等のデジタル工作機器を組み合わせることで,こうした問題点を解消した柔軟な表現手法を目指す.本稿では,クロミック素材の中からUV 刺繍糸を使い,多様な色/描画パターンを表現できるインタラクティブキャンバスChromicCanvas を提案する.
コンセプト.
左:色の混色例.上から青単色,斜めストライプ,ピンク単色,縦ストライプ.右:ペン/スタンプによる描画例.
発表
Maho Oki, Mao Wakamoto, and Koji Tsukada. ChromicCanvas: Interactive Canvas Using Chromic Fiber. In HCI International 2023 Posters. HCII 2023. Communications in Computer and Information Science, vol 1832. pp. 280–287. 2023. https://doi.org/10.1007/978-3-031-35989-7_36 [PDF]
沖 真帆 , 若本 麻央 , 塚田 浩二, ChromicCanvas: クロミック繊維を用いたインタラクティブキャンバスの試作と評価, 情報処理学会研究報告, 2019-HCI-185(26), pp.1-8, Nov, 2019. [PDF]
若本 麻央,沖 真帆,塚田 浩二,ChromicCanvas: クロミック繊維を用いたインタラクティブキャンバスの提案,インタラクション2019論文集,インタラクティブ発表(プレミアム発表),1B-45,pp.364-369,2019.[PDF]