RayLeight: レイリー散乱を用いたマトリクスディスプレイの提案

本研究では、青空や夕焼けを生むレイリー散乱という現象に着目し、アクリルエマルジョンが溶け込んだ溶液と光源を組み合わせることで、レイリー散乱を応用したディスプレイを制作する。本システムにより、日常生活に馴染んだ印象的な情報提示を目指す。
その第一歩として、次のような実験・実装を行った。まず、溶液の濃度や白色光を照射する向きによって発色がどのように変化するかを検証し、ディスプレイの基本部品(透明の角型容器に溶液を封入したもの)を作成した。部品をマトリクス状に並べ、底面に配置した白色LEDで照らすことで、任意の部品の色を変化させるディスプレイを試作した。

コンセプト:(1) レイリー散乱現象を引き起こす素材を、取り回しが容易で配置の自由度が高い形に加工(部品化)し、(2) 光源と組み合わせたディスプレイを設計する
試作したディスプレイの表示例:4 × 2 に部品を配置して底面LEDを全点灯したときの側面(左)と上面(右)の写真

発表

  • 袴田 結女,沖 真帆,塚田 浩二.RayLeight: レイリー散乱を用いたマトリクスディスプレイの提案.研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC),2022-EC-63(12),pp.1-7.2022-03-11.[PDF]

可変抵抗に操作感を付与するためのインタラクティブな機構モデリング支援ツール

低価格帯3Dプリンタの普及により,個人レベルでも様々な機構部品を設計/出力することが可能になった.しかし,一般に部品設計には専門的なアプリケーションを使いこなす必要があり,習得には多大な時間と労力が掛かる.本研究では,先行研究として提案した「可変抵抗に操作感を付与する外骨格機構」に焦点を当てた,インタラクティブな機構モデリング支援ツールを作成する.

作成した支援ツール(スライダー型可変抵抗バージョン).先行研究では,3Dモデルを作成するためにスクリプト言語(OpenSCAD)で記述する必要があった.本ツールは触覚パーツのパラメータ(位置や数,種類等)をGUIで入力するため,手軽に設計できる.


発表

  • 山本 侑吾,塚田 浩二.可変抵抗に操作感を付与するためのインタラクティブな機構モデリング支援ツール.インタラクション2022論文集,インタラクティブ発表,1D-07,pp.160-163,2022-02-28.[PDF]

関連するプロジェクト

MagTile:多様な操作が可能なマグネット式インタフェースの提案

本研究では、磁石のフィードバックを利用した入力デバイスを提案する。ボードとスイッチの2つのモジュールで構成され、ボードにスイッチを乗せて動かすことで操作する。操作方法は、回転・ピボット・押すの3種類に対応する。2つのモジュールには磁石が埋め込まれており、操作した際のフィードバックを触覚や音で得ることができる。また、操作をセンシングする電子回路はボード部/スイッチ部の一方に埋め込めばよいため、用途で使い分けることができる。

システム構成
磁石によるフィードバックを活用した3種類の操作
MagTileを用いた応用例の一つ。3種類の操作を使って、ボード裏に配置したLEDの色変更・輝度調整・全面への反映を行う。
MagTileを用いた応用例の一つ:研究室紹介装置。メンバーの名前が書かれたスイッチにIDタグを埋め込み、装置で固有IDを識別することで、そのメンバーのプロフィール情報や研究プロジェクトを表示/切り替えする。

発表

  • 晴山 京汰,塚田 浩二.MagTile:多様な操作が可能なマグネット式インタフェースの試作.研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC),2022-EC-63(14), pp.1-8.2022-03-11. [PDF]
  • 晴山 京汰,塚田 浩二.多様な操作が可能なマグネット式インタフェースの提案.WISS2021予稿集.デモ発表,3-B04. 2021-12.[PDF]

可変抵抗にクリック感と重みを付与する外骨格機構

3Dプリンタで造形可能な物理的な機構のみを利用して,可変抵抗(スライダー型/ダイヤル型)に触覚的なフィードバックを与える手法を提案する.一般的な可変抵抗に容易に脱着できる,クリック感と重みを個別に設計できる,低価格なFDM式3Dプリンターで手軽に造形できる,視覚的手掛かりの有無を切り替えて造形できる,等の特徴を持つ.外骨格機構として,スライダー型とダイヤル型の2種類の可変抵抗を対象に実装した.

コンセプト図と構成パーツ例.市販の可変抵抗器(スライダー/ボリューム)に,3Dプリントした軸受けとカバーを取り付けることで,クリック感や重みを付与する.

サンプルデータ

発表

  • 塚田 浩二,新山 大翔,沖 真帆.可変抵抗にクリック感と重みを付与する外骨格機構の提案.インタラクション2021論文集,インタラクティブ発表(プレミアム発表),1B02,pp.193-197,2021-03.[PDF]

カスタマイズ可能な二次元レンチキュラを用いた多視点情報提示手法

レンチキュラレンズとは,かまぼこ型の凸レンズが連なったシート状のレンズである.これを複数画像を交互に分割して配置した合成画像の上に重ねることで,見る角度によって画像が切り替わって見える.この仕組みは一般にレンチキュラと呼ばれ,傾けるとアニメーションするカードや,ユーザの視点によって絵柄が変化するポスター等の印刷物に広く利用されている.さらに,裸眼立体視表現などディスプレイへ応用する研究も行われている.一方,従来のレンチキュラでは一次元方向でしか画像を切り替えることができず,一般のユーザが扱うためにはレンズを印刷物等に精密に張り合わせる必要があり,敷居が高い問題があった.よって,3D プリンタやレーザーカッターのように個人レベルのモノづくりではあまり利用されてこなかった.

本研究では,UV プリンタで造形可能なレンズアレイを用いた二次元レンチキュラを提案する.二次元レンチキュラでは,凸レンズを二次元方向に敷き詰めたレンズアレイをディスプレイや印刷物と組み合わせることで,視点に応じて二次元方向に画像が変化する情報提示を行うことができる.また,小型マイコン/スマートフォン/タブレット等の多様なサイズのディスプレイに適応したり,レンズの焦点距離を変えることで視認性を調整することもできる.



本研究の概要.
二次元レンチキュラを用いて視点に応じて画像が変化する情報提示を行う(左).
レンズアレイは多様なサイズ/厚み等にカスタマイズして造形できる(右).
二次元レンチキュラの概要.
レンズの下に円状の色画像を配置(左)すると,見る角度によって色が2次元的に変化する(右).
画像パターン設計ツール

発表

  • ワークショップ.公立はこだて未来大学 塚田研究室 島元諒.角度を変えるとイラストが変わる!キーホルダーワークショップ .FabLab SENDAI – FLAT.2022/03/20.[外部リンク(FabLab SENDAI)]
  • 島元 諒,塚田 浩二.UVプリンタを用いた二次元レンチキュラのカスタマイズ性の検討と試作.WISS2021予稿集.デモ発表,3-R-13.2021-12.[PDF]
  • 島元 諒,塚田 浩二,カスタマイズ可能な二次元レンチキュラを用いた多視点情報提示手法の提案,WISS2020予稿集,pp.25-30,登壇発表(ショート),2020-12. [PDF]

UVプリンタを用いたレンズ造形手法の提案

概要

レンズは,身近なものから精密機器まで幅広く利用されている.近年,デジタル工作機械の普及により,個人レベルでのものづくりの幅が広がっているが,レンズを作ることは一般に困難である.本研究では,FabLab などを中心に普及しつつある UV プリンタに着目し,多様なレンズ造形手法を提案する.具体的には,UV プリンタを用いて透明インクを積層して形状を作り,その上に光沢の印刷を施すことで積層跡を埋め,なめらかな表面のレンズを造形する.印刷データ制作ツールの実装を行い,複数の作例を試作した.

発表

  • Koji Tsukada, Kei Sugiyama, Maho Oki. Lens Shaping Method and Applications Using UV Printer. Journal of Information Processing, 2022, Volume 30, Pages 97-106. 2022-02-15. [PDF]
  • Kei Sugiyama and Koji Tsukada. Proposal of Lens Shaping Method Using UV Printer. In The Adjunct Publication of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (UIST ’19). pp.125-127. 2019.  [PDF]
  • 杉山 圭,塚田 浩二, UVプリンタを用いたレンズ造形手法とその応用, WISS2019論文集,登壇/デモ発表,pp.25-30,Sep,2019. [PDF]【デモ発表賞受賞】
  • 杉山 圭,塚田 浩二,UVプリンタを用いたレンズ造形手法の提案,インタラクション2019論文集,インタラクティブ発表,1B-24,pp.270-275,2019.[PDF]

関連するプロジェクト

導電性インクを利用した読書行為推定手法の提案

概要

近年,導電性素材を用いたインタラクション研究が盛んに行われており,特に導電性インクが注目されている.導電性インクは,一般的な家庭用のプリンタに導入して印刷によって容易に電子回路を作成できる点が特徴である.一方,導電性インクは単一の紙に印刷して利用されることが多く,複数枚の紙に印刷し,重ね合わせて利用した例は少ない.本研究では,導電性インクを複数枚の紙に印刷して重ね合わせたブック型デバイスと,センサデータの記録/振り返り用のアプリケーションを実装し,「ページのめくり方」「本の持ち方」といった読書行為の認識を試みる.さらに,読書の癖や読み方といった,読書状況の推定の可能性について議論する.

提案システムの利用例.「ページをめくる」「本を支える」といった読書行為を,導
電性インクを用いたタッチセンサで記録しつつ,動画と共に振り返る.

発表

  • 田口 克哉,塚田 浩二,導電性インクを利用した読書行為推定手法の提案,インタラクション2019論文集,インタラクティブ発表,2B-30,pp.576-579,2019.[PDF]

ChromicCanvas: クロミック繊維を用いたインタラクティブキャンバスの提案

概要

クロミック素材は,外部からの刺激によって色等が可逆的に変化する現象を示す物質である.さりげない質感変化が魅力であり,お湯を入れると色が変化するマグカップ等の小物製品にも利用されている.しかし,「有色から無色などの2 色間の遷移しかできない」,「一度変化パターンを決めると後から変更できない」といった制約があり,素材単独では柔軟な表現が難しかった.本提案では,クロミック素材とCNC ミシン等のデジタル工作機器を組み合わせることで,こうした問題点を解消した柔軟な表現手法を目指す.本稿では,クロミック素材の中からUV 刺繍糸を使い,多様な色/描画パターンを表現できるインタラクティブキャンバスChromicCanvas を提案する.

 

発表

  • 沖 真帆 , 若本 麻央 , 塚田 浩二, ChromicCanvas: クロミック繊維を用いたインタラクティブキャンバスの試作と評価, 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), 2019-HCI-185(26), pp.1-8, Nov, 2019. [PDF]
  • 若本 麻央,沖 真帆,塚田 浩二,ChromicCanvas: クロミック繊維を用いたインタラクティブキャンバスの提案,インタラクション2019論文集,インタラクティブ発表(プレミアム発表),1B-45,pp.364-369,2019.[PDF]

SomaticBall: ボールと身体の関係を制御するシステムの提案

近年,スポーツに情報技術を導入して,スポーツ体験を拡張する「Augmented Sports」という分野の研究が盛んに行われてきています.このAugmented Sportsでは,スポーツプレイヤーの身体/道具/フィールドなどに,センサ/アクチュエータ/コンピュータを搭載することで,新しいスポーツ体験を実現させます.
本研究では,多くのスポーツで使用される「ボール」に注目し,ボールと身体とのインタラクションを制御することで,ボールを扱うスポーツで比喩表現として使われる「ボールが身体に吸い付く感覚」を提示する「SomaticBall」を作製しました.SomaticBallでは,ボールの動作制御手法として「磁力」を利用します.ボール自体には,磁性体を組み込み,ユーザーが身につけるデバイスには,電磁石とマイコンを組み込むことで,デバイスから発する磁力によってボールを制御し,「ボールが身体に吸い付く感覚」を提示します.

デバイス構成
デバイス全体の外観


対外発表

  • Hayato Dogai, Maho Oki, and Koji Tsukada,  SomaticBall: Ball-Type Device Providing “Sticking Feeling”. In Proceedings of the 13th International Conference on Advances in Computer Entertainment Technology (ACE2016) , Article 37 , 6 pages. 2016.  [PDF]
  • 道貝 駿斗, 沖 真帆, 塚田 浩二, SomaticBall: 「ボールが体に吸い付く感覚」を提示するボール型デバイスの提案, エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2016論文集, pp.217-222, Nov, 2016. [PDF]
  • 道貝 駿斗, 沖 真帆, 塚田 浩二, SomaticBall: ボールと身体の関係を制御するシステムの提案, ソフトウェア科学会 WISS2015論文集, pp.171-172. [PDF]

CapacitiveMarker:接触認識可能な2次元コードを用いたインタラクション手法

現在広く普及している2 次元コードは,読み取り時に入力部となるカメラとの間に一定の距離を作らなければ認識されないという空間的制約がある.一方,近年タブレット端末等の静電容量式マルチタッチディスプレイの普及に伴い,導電性パターンを接触させ,マーカーのように扱う研究事例が多く報告されている.そこで本研究では,両者を統合し,2 次元コードを印刷した紙と導電パターンを印刷した透明フィルムの2 枚を重ね合わせる事で,カメラ/静電式タッチディスプレイのどちらからも認識可能な新しい2 次元コード「CapacitiveMarker」を提案する.さらに,CapacitiveMarkerを用いた様々なインタラクション手法について応用アプリケーションを通して紹介する.

capacitivemarker
CapacitiveMarker
The structure of the CapacitiveMarker
The structure of the CapacitiveMarker

対外発表

  • 池田 昂平, 沖 真帆, 塚田 浩二. 接触認識可能な2次元コードを用いたインタラクション手法の研究. 情報処理学会論文誌, vol.58, no.5, pp.1037-1048. 2017. [PDF]
  • 池田 昂平,沖 真帆,塚田 浩二,CapacitiveMarker: 接触認識可能な2次元コードを用いたインタラクション手法,インタラクション2016論文集,一般講演(ショート),pp.72-79,Mar, 2016.[PDF]
  • 池田 昂平,塚田 浩二: CapacitiveMarker, 接触認識可能な2次元コードを用いたインタラクション手法, 情報処理学会 インタラクション2015論文集, インタラクティブ発表(プレミアム発表,一般公開発表),pp.921-925, Mar, 2015.[PDF]
  • Kohei Ikeda and Koji Tsukada, CapacitiveMarker: Novel interaction method using visual marker integrated with conductive pattern, In Proceedings of the 6nd Augmented Human International Conference (AH2015), pp.225-226, ACM Press, Mar, 2015. [PDF]
  • 池田 昂平,塚田 浩二, CapacitiveMarker: 静電パターンを内包した接触認識可能な2次元コード, ソフトウェア科学会 WISS2014論文集, pp. 129-130, Nov, 2014. [PDF]
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