視点の変化によって異なる画像や動きを知覚させる技術として,レンチキュラやスリットアニメーションが知られている.本研究では,こうした視点依存的な視覚効果を応用し,情報提示や装飾的応用に活用できる新たな表現手法を模索する.具体的には,レンズアレイと画像パターンとの相対的な位置関係を変化させることで得られる視覚効果に注目し,回転移動に焦点を当てたプロトタイプを作成した.位置関係の変化の再現性を高めた状態で,多様な画像パターンを検証することで,視覚効果の発生条件を探索する.
凸レンズを複数配置した透明板(図左)と画像パターンを印刷した板(図中央)を重ね,中心を軸で固定して回転移動による視覚効果を確認できるようにした(図右).画像パターンを交換し,様々な効果を検証する.
視覚効果例.レンズアレイの移動により,「拡大・縮小」「歪み」「揺れ」「生成・消失」が観察されることに着目した.プロトタイプをゆっくり回転させることで,画像パターンの模様が拡大・縮小(ズームイン・ズームアウト)するような効果を確認できた(右図a~d).
発表
- 鈴木 麻央,沖 真帆,塚田 浩二. 可動式レンズアレイを用いた情報提示手法の基礎検討. 日本ソフトウェア科学会 WISS2025 予稿集, デモ発表 2-C11. 2025-12. [PDF]
既存のゲームコントローラは,ボタンの物理的な配置が固定されており,スマートフォンベースのコントローラでは触感フィードバックに乏しい問題があった.本研究は,スマートフォンと触感シートを組み合わせて,レイアウトや触感を自由にカスタマイズできる汎用ゲームコントローラを提案する.仮想ボタンを自由にレイアウトできる Android アプリと,そのレイアウト情報を元に造形できる触感シートを組み合わせることで,こうした問題の解決を図り,実用可能なゲームコントローラを構築する.
システム構成.アプリでボタンのレイアウトをカスタマイズし,透明の凹凸を印刷した触感シートを貼り付けり.
制作したコントローラを使ってPCゲームをプレイできる.
制作したコントローラ例
発表
- 川尻 千遥,塚田 浩二. レイアウトと触感をカスタマイズ可能なゲームコントローラの提案. 日本ソフトウェア科学会 WISS2025 予稿集, デモ発表 3-C09. 2025-12. [PDF]
本研究では触覚と視覚のハイブリッド点字の作成とその応用を提案する.UV プリンタで造形したレンズアレイをディスプレイや印刷物と組み合わせることで,視点に応じて二次元方向に画像が変化する情報提示を行う手法が提案されている.本研究では,レンズアレイの突起のサイズを調整することで,点字としても活用できる点に着目した.透明インクを盛り合わせた点字(レンズ)と,その下や周辺にカラーインクで印刷されたパターンを組み合わせることで,晴眼者・視覚障がい者の双方に効果的な情報提示手法を提案する.指先でなぞることで点字として機能しつつ,点字の下に印刷された複数の色やパターンを可視化することができる.具体的な活用例として,案内板や点字絵本,タッチパネルと組み合わせたコントローラー等を実装する.
データ(カラーインク,透明インク)と造形結果の例
Adobe Illustrator 上で,日本語かな50 音等に対応した点字のあいうえお表を作成し,シンボル機能に登録して呼び出すことで,レンズ部のデータ制作の効率化を図った.
発表
- 中尾 実柚, 沖 真帆, 塚田 浩二. レンズアレイを拡張したハイブリッド点字表現の基礎検討. 情報処理学会 インタラクション2025論文集, インタラクティブ発表, 1B37, pp.377-380. 2025-3. [PDF]
カスタマイズ可能なラインストーン造形手法を提案する.本手法では,UV プリンタを用いてカラーインクで底面パターンを印刷し,その上に透明インクを盛り上げてストーンを印刷することで,ラインストーンを造形する.底面パターンや配色,印刷素材等をカスタマイズすることでラインストーンの外観をデザインすることができる.さらにレイアウトしたラインストーンは UV プリンタで一度にまとめて印刷することが可能である.
本手法で制作したラインストーン作品の外観と印刷用データ.(a) スマートフォンケース.(b) ステッカー.(c) アクセサリー
謝辞
本研究を進めるにあたり,FabLabSENDAI – FLAT にご協力いただきました.ありがとうございました.
発表・採択等
レンチキュラレンズとは,かまぼこ型の凸レンズが連なったシート状のレンズである.これを複数画像を交互に分割して配置した合成画像の上に重ねることで,見る角度によって画像が切り替わって見える.この仕組みは一般にレンチキュラと呼ばれ,傾けるとアニメーションするカードや,ユーザの視点によって絵柄が変化するポスター等の印刷物に広く利用されている.さらに,裸眼立体視表現などディスプレイへ応用する研究も行われている.一方,従来のレンチキュラでは一次元方向でしか画像を切り替えることができず,一般のユーザが扱うためにはレンズを印刷物等に精密に張り合わせる必要があり,敷居が高い問題があった.よって,3D プリンタやレーザーカッターのように個人レベルのモノづくりではあまり利用されてこなかった.
本研究では,UV プリンタで造形可能なレンズアレイを用いた二次元レンチキュラを提案する.二次元レンチキュラでは,凸レンズを二次元方向に敷き詰めたレンズアレイをディスプレイや印刷物と組み合わせることで,視点に応じて二次元方向に画像が変化する情報提示を行うことができる.また,小型マイコン/スマートフォン/タブレット等の多様なサイズのディスプレイに適応したり,レンズの焦点距離を変えることで視認性を調整することもできる.
本研究の概要.
二次元レンチキュラを用いて視点に応じて画像が変化する情報提示を行う(左).
レンズアレイは多様なサイズ/厚み等にカスタマイズして造形できる(右).
二次元レンチキュラの概要.
レンズの下に円状の色画像を配置(左)すると,見る角度によって色が2次元的に変化する(右).
画像パターン設計ツール
謝辞
本研究を進めるにあたり,FabLabSENDAI – FLAT にご協力いただきました.ありがとうございました.
発表
- 島元諒, 塚田浩二. カスタマイズ可能な二次元レンチキュラを用いた多視点情報提示手法の研究. 情報処理学会論文誌, Vol.64, No.2, pp.388-399. 2023-02-15. [PDF]
- ワークショップ.公立はこだて未来大学 塚田研究室 島元諒.角度を変えるとイラストが変わる!キーホルダーワークショップ .FabLab SENDAI – FLAT.2022/03/20.[外部リンク(FabLab SENDAI)]
- 島元 諒,塚田 浩二.UVプリンタを用いた二次元レンチキュラのカスタマイズ性の検討と試作.WISS2021予稿集.デモ発表,3-R-13.2021-12.[PDF]
- 島元 諒,塚田 浩二,カスタマイズ可能な二次元レンチキュラを用いた多視点情報提示手法の提案,WISS2020予稿集,pp.25-30,登壇発表(ショート),2020-12. [PDF]
メディア