近年,空間を効率的に使える多様な多機能家具が市場に出回っている.北海道函館市のFuture Center「はこだてみらい館」においても,多数のブロック型の多機能家具が設置されている.この多機能家具は来館者の創造力を刺激する目的で設置されており,来館者が自由に動かして活用することが運営者から期待されている.しかし現状では,ほとんどの来館者は設置されている多機能家具を動かさず,そのまま椅子や机として利用している.
この問題を解決するために,本研究では利用者に多機能家具の能動的な利用を促すインタラクティブ・システムを提案する.プロトタイプでは多機能家具にスマートフォンを取り付け,多機能家具活用のきっかけとなる動作(例:家具を重ねる/衝突させる)のインフォグラフィックスを提示し,その動作の検出と音/映像によるフィードバックを返す.これにより,来館者が自由に多機能家具を活用できる環境の構築を目指す.
「重ねる」「衝突」動作の提示例
発表
- 清野 風人,塚田 浩二,仲松 聡,Future Centerにおける多機能家具の能動的な利用を促すシステムの提案,インタラクション2018論文集,インタラクティブ発表,2B54,pp.738-741,2018.[PDF]
日常生活の中で何度も繰り返される行動は,無意識に行われることが多く,やり忘れが起こりやすい.さらに,実際には忘れていなくても,記憶が曖昧で不安に駆られることがある.例えば,外出する際に鍵を閉めたか,ガスの元栓は閉めたか,部屋の照明は消したか,などが心配になる場合がある.こうした状況では,現場に戻って確認すれば不安は解消されるが,現実的には困難であり,不安を抱えたまま1日を過ごすことも多い.そこで本研究では,ヒューマンエラーの一種であるAction Slipの脱落という種類のエラーに注目し,スマートウォッチやスマートフォン,RFIDを搭載した自作デバイスを活用することで,記憶の曖昧な行動を手軽に振り返ることができるシステム「SlipWatcher」を提案する.行動を記録し振り返る手段を提供することで,Action Slipへの気づきを促したり,現場に戻り行動の確認をする必要なく不安を取り除くことが期待される.
発表
- 蛯名真紀,沖真帆,塚田浩二.SlipWatcher: スマートウォッチを利用した行動確認装置.ソフトウェア科学会 WISS2016 論文集,pp. 291-292, 2016. [pdf]
近年,スマートフォンやウェアラブルデバイスの普及に伴い,ライフログの分野が活性化している.しかし,カメラを用いた画像ベースのライフログは,膨大な量の写真を振り返ることが難しいことやプライバシーの問題から,本格的な普及には至っていない.そこで本研究では,こうした問題を解決するための一手法として,写真の色に着目し,色を記録するウェアラブルデバイスを提案する.
発表
- 木村繁基,沖真帆,塚田浩二,生活を「彩る」ライフログデバイスの提案,インタラクション2017論文集,インタラクティブ発表,pp.207-209, 1-506-27, Mar, 2017.[PDF]