FabLabの制作ノート振り返り支援システムの提案

FabLab では,ユーザが機材を用いて作品制作を行う際,簡単な「制作ノート」を記録することが多い.制作ノートには,作品名,制作時間,使用した機材とその設定,補足や注意点などのメモを記録することができる.こうした制作ノートは,紙ベースで情報量が少ないことが多く,スキャンしてデジタル化するだけでは検索性や再利用性に欠ける問題があった.
本研究では,スマートフォン/タブレット等に適した,制作ノートを手軽に記録/閲覧可能なシステムを提案する.全ての制作ノートはオンラインのデータベースに保存され,FabLab 内外で主催者の設定に応じて共有することができる.さらに,制作ノートを元にFabLab の活動状況を時間単位/機材単位等で視覚化し,活動の振り返りを支援するツールを提案する.これにより,データ化した制作ノートを活用して多彩な振り返りを可能にする.

謝辞

本研究を進めるにあたり,FabLabSENDAI – FLAT にご協力いただきました.ありがとうございました.

発表

  • 及川 遼,塚田 浩二,FabLabの制作ノート振り返り支援システム,インタラクション2019論文集,インタラクティブ発表,2B-28,pp.568-571,2019.[PDF]

スマートウォッチを用いた共創的モノづくり環境のための動画マニュアル制作支援システム

FabLab 等のファブコミュニティにおいては,ユーザは 3D プリンタ等を用いた作品だけでなく,それを他者にシェアするための手順書の作成も期待されている.しかし,こうした手順書作成の負担は大きいため,実現されないことも多い.また,画像やテキスト中心の従来の手順書では細かい手技等は表現できないため,ユーザに一定の知識や技術を暗に要求してしまう問題もある.

本研究では,スマートウォッチとスマートフォンを組み合わせることで,机上での組み立て操作を手軽に記録/編集して,動画マニュアルの作成を支援するシステムを提案する.まず,モノづくり中の組立動作を両腕に付けたスマートウォッチと机上に固定したスマートフォンで記録し,モーションデータ/動画を Web 上に保存する.次に,モーションデータを元に特徴的な動作に対して,動画に手動/自動でタグ付けを行うことで,自動的にチャプターや字幕が作成され,動画マニュアルのドラフトとして活用できる.

デバイス構成と利用時の様子
システム構成
スマートウォッチを用いた収集データの一例.
特に右手(利き手)のセンサデータに特徴が見られる.

発表

  • 会津 慎弥, 塚田 浩二, スマートウォッチを用いたモノづくりマニュアル作成支援システムの提案, 情報処理学会研究報告, 2018-HCI-180(9), pp.1-7, Nov,2018. [PDF]
  • Shinya Aizu and Koji Tsukada, Support System for Creating Manufacturing Manual using Smart Watches, In Proceedings of the 2018 ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing and Proceedings of the 2018 ACM International Symposium on Wearable Computers (UbiComp ’18). pp. 323-326, Oct, 2018.[PDF]
  • 会津 慎弥,塚田 浩二, スマートウォッチを用いたモノづくりの動作検出に対する試み,WISS2017論文集,1-A07 ,Dec,2017. [PDF]

モノづくりワークショップを対象とした振り返り動画作成支援システム

近年,FabLab などのモノづくりコミュニティが主催する,デジタル工作機器を用いたモノづくりワークショップが頻繁に開催されている.こうしたワークショップでは,制作物だけでなく,その制作過程も重要な体験である.しかし,主催者/参加者ともに,自身の作業に追われてしまうため,制作過程を手軽に記録して振り返ることは難しい.

本研究では,こうしたモノづくりワークショップの振り返り動画の作成を支援するシステムを提案する.本システムは,「ハンズフリー/複数視点からの撮影機能」と「振り返りと一体化した動画編集機能」から構成され,動画編集機能には「ツール認識」「笑顔認識」「両手作業認識」等の画像認識を用いたシーン探索機能を備える.本論文では,システムの設計/多視点動画の分析/実装について述べる.さらに,評価実験を通してシーン探索機能の性能等を検証する.

本システムの動画編集画面(図上)とシーン探索機能(図下)の一例.

本システムは,視点の異なる複数の動画を同時に再生でき,ユーザが興味の有る箇所/重要と思う箇所をタップするとその操作を記録する.ユーザが視聴を終えてCreateボタンを押すと,記録情報をもとに1本の振り返り動画を生成する.閲覧中にユーザが重要度を判断するために,「利用中の工具」「両手作業」「参加者の笑顔」等の情報(シーン探索機能)をタイムライン上に視覚化する.

発表

  • 中江 一哉, 塚田 浩二, モノづくりワークショップの振り返り支援システム, 情報処理学会研究報告, vol.2018-HCI-177, No.6, pp.1 – 8, 2018. [PDF]
  • Kazuya Nakae and Koji Tsukada. 2018. Support System to Review Manufacturing Workshop through Multiple Videos. In Proceedings of the 23rd International Conference on Intelligent User Interfaces Companion (IUI’18). Article 4, 2 pages, 2018.[PDF]
  • 中江 一哉,沖 真帆,塚田 浩二,モノづくりワークショップを対象とした振り返り動画作成支援システム,インタラクション2017論文集,インタラクティブ発表(プレミアム発表),pp.499-502, 2-509-34, Mar, 2017.[PDF]

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