クロミック素材は,外部からの刺激によって色等が可逆的に変化する現象を示す物質である.さりげない質感変化が魅力であり,お湯を入れると色が変化するマグカップ等の小物製品にも利用されている.しかし,「有色から無色などの2 色間の遷移しかできない」,「一度変化パターンを決めると後から変更できない」といった制約があり,素材単独では柔軟な表現が難しかった.本提案では,クロミック素材とCNC ミシン等のデジタル工作機器を組み合わせることで,こうした問題点を解消した柔軟な表現手法を目指す.本稿では,クロミック素材の中からUV 刺繍糸を使い,多様な色/描画パターンを表現できるインタラクティブキャンバスChromicCanvas を提案する.
コンセプト.
左:色の混色例.上から青単色,斜めストライプ,ピンク単色,縦ストライプ.右:ペン/スタンプによる描画例.
発表
Maho Oki, Mao Wakamoto, and Koji Tsukada. ChromicCanvas: Interactive Canvas Using Chromic Fiber. In HCI International 2023 Posters. HCII 2023. Communications in Computer and Information Science, vol 1832. pp. 280–287. 2023. https://doi.org/10.1007/978-3-031-35989-7_36 [PDF]
沖 真帆 , 若本 麻央 , 塚田 浩二, ChromicCanvas: クロミック繊維を用いたインタラクティブキャンバスの試作と評価, 情報処理学会研究報告, 2019-HCI-185(26), pp.1-8, Nov, 2019. [PDF]
若本 麻央,沖 真帆,塚田 浩二,ChromicCanvas: クロミック繊維を用いたインタラクティブキャンバスの提案,インタラクション2019論文集,インタラクティブ発表(プレミアム発表),1B-45,pp.364-369,2019.[PDF]
レンチキュラレンズとは,かまぼこ型の凸レンズが連なったシート状のレンズである.これを複数画像を交互に分割して配置した合成画像の上に重ねることで,見る角度によって画像が切り替わって見える.この仕組みは一般にレンチキュラと呼ばれ,傾けるとアニメーションするカードや,ユーザの視点によって絵柄が変化するポスター等の印刷物に広く利用されている.さらに,裸眼立体視表現などディスプレイへ応用する研究も行われている.一方,従来のレンチキュラでは一次元方向でしか画像を切り替えることができず,一般のユーザが扱うためにはレンズを印刷物等に精密に張り合わせる必要があり,敷居が高い問題があった.よって,3D プリンタやレーザーカッターのように個人レベルのモノづくりではあまり利用されてこなかった.
本研究では,UV プリンタで造形可能なレンズアレイを用いた二次元レンチキュラを提案する.二次元レンチキュラでは,凸レンズを二次元方向に敷き詰めたレンズアレイをディスプレイや印刷物と組み合わせることで,視点に応じて二次元方向に画像が変化する情報提示を行うことができる.また,小型マイコン/スマートフォン/タブレット等の多様なサイズのディスプレイに適応したり,レンズの焦点距離を変えることで視認性を調整することもできる.
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本研究の概要. 二次元レンチキュラを用いて視点に応じて画像が変化する情報提示を行う(左). レンズアレイは多様なサイズ/厚み等にカスタマイズして造形できる(右).
二次元レンチキュラの概要. レンズの下に円状の色画像を配置(左)すると,見る角度によって色が2次元的に変化する(右).
画像パターン設計ツール
謝辞
本研究を進めるにあたり,FabLabSENDAI – FLAT にご協力いただきました.ありがとうございました.
発表
島元諒, 塚田浩二. カスタマイズ可能な二次元レンチキュラを用いた多視点情報提示手法の研究. 情報処理学会論文誌, Vol.64, No.2, pp.388-399. 2023-02-15. [PDF]
ワークショップ.公立はこだて未来大学 塚田研究室 島元諒.角度を変えるとイラストが変わる!キーホルダーワークショップ .FabLab SENDAI – FLAT.2022/03/20.[外部リンク(FabLab SENDAI)]
島元 諒,塚田 浩二.UVプリンタを用いた二次元レンチキュラのカスタマイズ性の検討と試作.WISS2021予稿集.デモ発表,3-R-13.2021-12.[PDF]
島元 諒,塚田 浩二,カスタマイズ可能な二次元レンチキュラを用いた多視点情報提示手法の提案,WISS2020予稿集,pp.25-30,登壇発表(ショート),2020-12. [PDF]
メディア
低価格帯3Dプリンタの普及により,個人レベルでも様々な機構部品を設計/出力することが可能になった.しかし,一般に部品設計には専門的なアプリケーションを使いこなす必要があり,習得には多大な時間と労力が掛かる.本研究では,先行研究として提案した「可変抵抗に操作感を付与する外骨格機構 」に焦点を当てた,インタラクティブな機構モデリング支援ツールを作成する.
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作成した支援ツール(スライダー型可変抵抗バージョン).先行研究では,3Dモデルを作成するためにスクリプト言語(OpenSCAD)で記述する必要があった.本ツールは触覚パーツのパラメータ(位置や数,種類等)をGUIで入力するため,手軽に設計できる.
発表
山本 侑吾,塚田 浩二.可変抵抗に操作感を付与するためのインタラクティブな機構モデリング支援ツール.インタラクション2022論文集,インタラクティブ発表,1D-07,pp.160-163,2022-02-28.[PDF]
本研究では、磁石のフィードバックを利用した入力デバイスを提案する。ボードとスイッチの2つのモジュールで構成され、ボードにスイッチを乗せて動かすことで操作する。操作方法は、回転・ピボット・押すの3種類に対応する。2つのモジュールには磁石が埋め込まれており、操作した際のフィードバックを触覚や音で得ることができる。また、操作をセンシングする電子回路はボード部/スイッチ部の一方に埋め込めばよいため、用途で使い分けることができる。
システム構成
磁石によるフィードバックを活用した3種類の操作
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MagTileを用いた応用例の一つ。3種類の操作を使って、ボード裏に配置したLEDの色変更・輝度調整・全面への反映を行う。
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MagTileを用いた応用例の一つ:研究室紹介装置。メンバーの名前が書かれたスイッチにIDタグを埋め込み、装置で固有IDを識別することで、そのメンバーのプロフィール情報や研究プロジェクトを表示/切り替えする。
発表・受賞
レンズは,身近なものから精密機器まで幅広く利用されている.近年,デジタル工作機械の普及により,個人レベルでのものづくりの幅が広がっているが,レンズを作ることは一般に困難である.本研究では,FabLab などを中心に普及しつつある UV プリンタに着目し,多様なレンズ造形手法を提案する.具体的には,UV プリンタを用いて透明インクを積層して形状を作り,その上に光沢の印刷を施すことで積層跡を埋め,なめらかな表面のレンズを造形する.印刷データ制作ツールの実装を行い,複数の作例を試作した.
発表
Koji Tsukada, Kei Sugiyama, Maho Oki. Lens Shaping Method and Applications Using UV Printer. Journal of Information Processing, 2022, Volume 30, Pages 97-106. 2022-02-15. [PDF]
Kei Sugiyama and Koji Tsukada. Proposal of Lens Shaping Method Using UV Printer. In The Adjunct Publication of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (UIST ’19). pp.125-127. 2019. [PDF]
杉山 圭,塚田 浩二, UVプリンタを用いたレンズ造形手法とその応用, WISS2019論文集,登壇/デモ発表,pp.25-30,Sep,2019. [PDF] 【デモ発表賞受賞】
杉山 圭,塚田 浩二,UVプリンタを用いたレンズ造形手法の提案,インタラクション2019論文集,インタラクティブ発表,1B-24,pp.270-275,2019.[PDF]