3D プリンターを活用したモノづくりの中で,複数の部品が組み合わさって動く立体物を一回でプリントする「一体造形手法」が用いられることがある.これは,組立作業が不要なため,「時間/手間のコストを抑えながら試作検証ができる」,「入れ子構造のような複雑な形状を制作できる」等のメリットがある.しかし,造形を成功させるためには,部品間の隙間を適切に設けたり,サポート材を除去しやすい形状や出力設定を模索したりと,設計/出力時に配慮すべき点が多い.この試行錯誤には手間と時間を要するため,初心者には難しい手法であった.そこで本研究では,3D プリンターを用いた一体造形に適する機構設計を試みる.
本研究では,弾力を調整可能なコイルスプリングジョイントを提案する.径/全長/ピッチ等のパラメータをプログラム上で調整し 3D プリンタで出力することで,弾力や強度の異なるスプリングを作成するシステムを試作した.コイルスプリングを専用の連結ジョイントで繋ぐことにより,スプリングを辺とした立体構造物を作成できる.さらに,本機構の応用例の一つとして導電性フィラメントで出力したスプリングを使った押し込みセンサを試作した.
FabLab 等のファブコミュニティにおいては,ユーザは 3D プリンタ等を用いた作品だけでなく,それを他者にシェアするための手順書の作成も期待されている.しかし,こうした手順書作成の負担は大きいため,実現されないことも多い.また,画像やテキスト中心の従来の手順書では細かい手技等は表現できないため,ユーザに一定の知識や技術を暗に要求してしまう問題もある.
本研究では,スマートウォッチとスマートフォンを組み合わせることで,机上での組み立て操作を手軽に記録/編集して,動画マニュアルの作成を支援するシステムを提案する.まず,モノづくり中の組立動作を両腕に付けたスマートウォッチと机上に固定したスマートフォンで記録し,モーションデータ/動画を Web 上に保存する.次に,モーションデータを元に特徴的な動作に対して,動画に手動/自動でタグ付けを行うことで,自動的にチャプターや字幕が作成され,動画マニュアルのドラフトとして活用できる.
Shinya Aizu and Koji Tsukada, Support System for Creating Manufacturing Manual using Smart Watches, In Proceedings of the 2018 ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing and Proceedings of the 2018 ACM International Symposium on Wearable Computers (UbiComp ’18). pp. 323-326, Oct, 2018.[PDF]
Kazuya Nakae and Koji Tsukada. 2018. Support System to Review Manufacturing Workshop through Multiple Videos. In Proceedings of the 23rd International Conference on Intelligent User Interfaces Companion (IUI’18). Article 4, 2 pages, 2018.[PDF]
中江 一哉,沖 真帆,塚田 浩二,モノづくりワークショップを対象とした振り返り動画作成支援システム,インタラクション2017論文集,インタラクティブ発表(プレミアム発表),pp.499-502, 2-509-34, Mar, 2017.[PDF]
デジタルカメラの小型化/低価格化は著しく,ほとんどの PC /スマートフォン/タブレットに搭載されるなど,コモディティ化が進んでいる.しかし,こうした IoT(Internet of Things)的応用においては,実世界での適切な固定方法,センサと連携した実世界の認識機能,クラウドと連携した適切な認識/フィードバック機能等が必要となり,カメラモジュール自体は安価になっても,それを用いた開発には多くの労力が必要であった.そこで本研究では,実世界の様々な箇所に手軽に固定し,様々なセンサと連動しつつ,クラウドと連携した柔軟な画像処理やフィードバックが行えるカメラベースのデバイスツールキット「AttachCam」を提案する.