鬼剣舞の練習を支援するシステム

日本の様々な地域で古くから民俗芸能が伝承されているが,昨今の情勢により伝承の形が変化し始めている.道場に赴いて練習をする機会が減り,代わりにインターネットにアップロードされている動画を参考にするなどして,自宅で練習する機会が増えた.しかし,動画を参考にして練習する方法には,練習者が踊りを間違って解釈してしまいかねないという課題がある.そこで本研究では,岩手県北上市の「鬼剣舞(おにけんばい)」と呼ばれる芸能を対象に,鬼剣舞の特徴である「跳躍や屈伸」と「ザイを切る動作」に着目した練習支援システムを提案する.

跳躍や屈伸の支援(姿勢推定技術の使用)

練習者の踊りと練習に用いる動画内の踊りを比較し,2つの踊りの差異を練習者にフィードバックするシステムを開発した.ユーザと動画内の演者を赤と青の骨格で表し,並べて提示することで大まかな大まかな踊りの振り付けの差異を確認できる.また,赤と青の骨格を重畳表示し,ユーザに注意してもらいたい部分を黄色で示すことで,屈伸動作の比較に役立たせることを狙う.

ザイを切る動作の支援(6 軸慣性センサを使用)

首を大きく振り,頭部用の装束であるザイを素早くなびかせる動作を「ザイを切る」と呼ぶ.主に踊り手の判断で行われる動作で,動きやタイミングに明確な基準が存在していないため,練習が困難である.そこで,6 軸慣性センサを用いて踊り手の頭頂部と背面腰部の加速度・角速度を取得し,ザイを切る動作区間を自動抽出した上で,その特徴を動画と合わせて可視化することで,踊り手の練習支援を図るシステムを開発した.

動作の特徴をアニメーションやパラメータで可視化する

発表

  • 近藤 勝伍, 塚田 浩二. 「ザイを切る」動作に着目した鬼剣舞の練習支援システムの試作. 情報処理学会研究報告, 2024-HCI-207(33), pp.1-8 . 2024-3. [PDF]
  • 近藤勝伍, 塚田浩二. 「ザイを切る」動作に着目した鬼剣舞の練習支援システムの提案. インタラクション2024論文集, インタラクティブ発表, 3A-13, pp.1121-1126. 2024-3. [PDF]
  • 近藤勝伍, 塚田浩二. 岩手の郷土芸能「鬼剣舞」の練習支援に関する研究. 第2回日本ダンス研究会.2022-11-26.
  • 近藤 勝伍,塚田 浩二.鬼剣舞の練習を支援するシステムの提案.インタラクション2022論文集,インタラクティブ発表(プレミアム発表),4D-03,pp.522-525,2022-03-01.[PDF]

先頭に戻る