ヒューマンインタフェース学会主催の年次研究発表大会、ヒューマンインタフェースシンポジウム2015(HIS2015)が、2015年9月1日(火)から4日(金)にかけて、はこだて未来大学で開催されました。
HISのプログラムの中のワークショップの一つ「takram design engineeringメソッドワークショップ」に、塚田研から学生4名と研究員の沖が参加したのでレポートします。
本ワークショップは、デザインとエンジニアリングを駆使して、様々な企業と連携した試作や製品開発で知られる気鋭のデザイン会社「takram design engineering」から、神原啓介さんと西條剛史さんを講師としてお招きし、同社のプロジェクトで実際に運用されているデザインメソッドの一端を体験することができました。
今回のテーマとしては、現実的な問題解決や製品開発において立ちはだかる「新規性と実用性の壁」が
取り上げられました。単に「新しい」「面白い」だけでは実用的な問題解決になりませんが、実用的なだけでは代わり映えのしないつまらないものになりがちです。この問題を解決するアプローチとして、「隣にいる人のためにものを作りプレゼントする」という手法が紹介されました。
具体的には、約20人の参加者を6グループに分かれ、隣のグループの一名を「ユーザ」役として、その人自身が欲しい「今回の学会ですぐに使える自己紹介ツール」の製作を目指しました。ユーザ役へのヒアリングを行ったり、実際に学会会場(HISが行われている未来大構内)に出向いてユーザが学会参加者と交流する様子を観察した後、グループ内で話し合ってアイデアを1つに絞りプロトタイプを作成します。そしてプロトタイプをユーザ役に使ってもらい、フィードバックを得てさらにプロトタイプを改良します。最後に、改良後のプロトタイプをユーザ役にプレゼントし、開発側/ユーザ側それぞれのコメントを全体で共有して質疑応答を行います。このように、4時間程度の限られた時間でしたが、問題発見/提案/試作/評価/改良という製品開発のプロセスが凝縮され、非常に密度の濃いワークショップになりました。
学会会場でのユーザ観察(左)、グループ内でのアイデア出し(右)
ワークショップ会場(左)、初期プロトタイプをユーザに説明(右)
フィードバック後の相談&実装(左)、改良後プロトタイプの受け渡し&感想の共有(右)
また、ワークショップを円滑に進めるための講師側のさりげないサポートも素晴らしかったです。たとえば、会場には明るいBGMが流れて居心地のよい空間作りがされていたり、ワークショップの最初にはお菓子/飲み物を頂きながら自己紹介する時間が設けられ、メンバー同士が打ち解けやすい工夫がされていました。また、話し合いに行き詰まるチームがあれば講師も一緒に考えてくれたり、議論を盛り上げるためのコメントや考え方のTipsを教えてくれました。試作用の材料も豊富に用意されていて、参加者がのびのびと試作できる環境でした。
講師のお二人、ありがとうございました!