本研究では触覚と視覚のハイブリッド点字の作成とその応用を提案する.UV プリンタで造形したレンズアレイをディスプレイや印刷物と組み合わせることで,視点に応じて二次元方向に画像が変化する情報提示を行う手法が提案されている.本研究では,レンズアレイの突起のサイズを調整することで,点字としても活用できる点に着目した.透明インクを盛り合わせた点字(レンズ)と,その下や周辺にカラーインクで印刷されたパターンを組み合わせることで,晴眼者・視覚障がい者の双方に効果的な情報提示手法を提案する.指先でなぞることで点字として機能しつつ,点字の下に印刷された複数の色やパターンを可視化することができる.具体的な活用例として,案内板や点字絵本,タッチパネルと組み合わせたコントローラー等を実装する.
データ(カラーインク,透明インク)と造形結果の例
Adobe Illustrator 上で,日本語かな50 音等に対応した点字のあいうえお表を作成し,シンボル機能に登録して呼び出すことで,レンズ部のデータ制作の効率化を図った.
発表
中尾 実柚, 沖 真帆, 塚田 浩二. レンズアレイを拡張したハイブリッド点字表現の基礎検討. 情報処理学会 インタラクション2025論文集, インタラクティブ発表, 1B37, pp.377-380. 2025-3. [PDF]
カスタマイズ可能なラインストーン造形手法を提案する.本手法では,UV プリンタを用いてカラーインクで底面パターンを印刷し,その上に透明インクを盛り上げてストーンを印刷することで,ラインストーンを造形する.底面パターンや配色,印刷素材等をカスタマイズすることでラインストーンの外観をデザインすることができる.さらにレイアウトしたラインストーンは UV プリンタで一度にまとめて印刷することが可能である.
本手法で制作したラインストーン作品の外観と印刷用データ.(a) スマートフォンケース.(b) ステッカー.(c) アクセサリー
謝辞
本研究を進めるにあたり,FabLabSENDAI – FLAT にご協力いただきました.ありがとうございました.
発表・採択等
第202回HCI研究会で発表 した当時M2の島元さんの研究が、同研究会の2022年度学生奨励賞を受賞しました。UVプリンタを用いてラインストーンを造形する手法に関する研究で、ストーン形状や底面パターンの分割方法・配色などをカスタマイズすることにより、ラインストーンの外観をデザインすることができます。
情報処理学会 HCI研究会 2022年度学生奨励賞(第202回研究会) 島元 諒(公立はこだて未来大学) 「RhinestonePrinter: カスタマイズ可能なラインストーン造形手法の提案」
http://www.sighci.jp/contents/page/news
2023/8/4にURLを追記
レンチキュラレンズとは,かまぼこ型の凸レンズが連なったシート状のレンズである.これを複数画像を交互に分割して配置した合成画像の上に重ねることで,見る角度によって画像が切り替わって見える.この仕組みは一般にレンチキュラと呼ばれ,傾けるとアニメーションするカードや,ユーザの視点によって絵柄が変化するポスター等の印刷物に広く利用されている.さらに,裸眼立体視表現などディスプレイへ応用する研究も行われている.一方,従来のレンチキュラでは一次元方向でしか画像を切り替えることができず,一般のユーザが扱うためにはレンズを印刷物等に精密に張り合わせる必要があり,敷居が高い問題があった.よって,3D プリンタやレーザーカッターのように個人レベルのモノづくりではあまり利用されてこなかった.
本研究では,UV プリンタで造形可能なレンズアレイを用いた二次元レンチキュラを提案する.二次元レンチキュラでは,凸レンズを二次元方向に敷き詰めたレンズアレイをディスプレイや印刷物と組み合わせることで,視点に応じて二次元方向に画像が変化する情報提示を行うことができる.また,小型マイコン/スマートフォン/タブレット等の多様なサイズのディスプレイに適応したり,レンズの焦点距離を変えることで視認性を調整することもできる.
VIDEO
本研究の概要. 二次元レンチキュラを用いて視点に応じて画像が変化する情報提示を行う(左). レンズアレイは多様なサイズ/厚み等にカスタマイズして造形できる(右).
二次元レンチキュラの概要. レンズの下に円状の色画像を配置(左)すると,見る角度によって色が2次元的に変化する(右).
画像パターン設計ツール
謝辞
本研究を進めるにあたり,FabLabSENDAI – FLAT にご協力いただきました.ありがとうございました.
発表
島元諒, 塚田浩二. カスタマイズ可能な二次元レンチキュラを用いた多視点情報提示手法の研究. 情報処理学会論文誌, Vol.64, No.2, pp.388-399. 2023-02-15. [PDF]
ワークショップ.公立はこだて未来大学 塚田研究室 島元諒.角度を変えるとイラストが変わる!キーホルダーワークショップ .FabLab SENDAI – FLAT.2022/03/20.[外部リンク(FabLab SENDAI)]
島元 諒,塚田 浩二.UVプリンタを用いた二次元レンチキュラのカスタマイズ性の検討と試作.WISS2021予稿集.デモ発表,3-R-13.2021-12.[PDF]
島元 諒,塚田 浩二,カスタマイズ可能な二次元レンチキュラを用いた多視点情報提示手法の提案,WISS2020予稿集,pp.25-30,登壇発表(ショート),2020-12. [PDF]
メディア
レンズは,身近なものから精密機器まで幅広く利用されている.近年,デジタル工作機械の普及により,個人レベルでのものづくりの幅が広がっているが,レンズを作ることは一般に困難である.本研究では,FabLab などを中心に普及しつつある UV プリンタに着目し,多様なレンズ造形手法を提案する.具体的には,UV プリンタを用いて透明インクを積層して形状を作り,その上に光沢の印刷を施すことで積層跡を埋め,なめらかな表面のレンズを造形する.印刷データ制作ツールの実装を行い,複数の作例を試作した.
発表
Koji Tsukada, Kei Sugiyama, Maho Oki. Lens Shaping Method and Applications Using UV Printer. Journal of Information Processing, 2022, Volume 30, Pages 97-106. 2022-02-15. [PDF]
Kei Sugiyama and Koji Tsukada. Proposal of Lens Shaping Method Using UV Printer. In The Adjunct Publication of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (UIST ’19). pp.125-127. 2019. [PDF]
杉山 圭,塚田 浩二, UVプリンタを用いたレンズ造形手法とその応用, WISS2019論文集,登壇/デモ発表,pp.25-30,Sep,2019. [PDF] 【デモ発表賞受賞】
杉山 圭,塚田 浩二,UVプリンタを用いたレンズ造形手法の提案,インタラクション2019論文集,インタラクティブ発表,1B-24,pp.270-275,2019.[PDF]